「紅」-KURENAI- 12話

紅が単身乗り込んでどうなるかと思ったら、結局紅香は普通に弥生連れて追いかけてくるし、弥生は普通に今まで負け続けた相手に勝ってるし、最終的な決着もお互い言いたいことぶつけ合ったら親父が折れたってだけだったし、正直見ててなんじゃこりゃな感じ。少なくとも、前回1話丸々いらなかったよな。
物語を通して紫が変わったことが何よりも一番大きなことだった、というのはそれ自体だけ見れば綺麗な話では有る。だが、それ以外の要素がことごとくおざなりな感じなのはどうしたものか。結局崩月の角なんて勿体つけた意味なんてこれっぽっちも無かった。本当に意味が無かったのは勿体つけたことではなく最終回で出したことだったが。もっと言うなら弥生のものも含めアクションシーン自体いらなかった感じではある。その意味の無いシーンの引き金のために刺された紅香も哀れではあるが、結局生死に関わる事態でもなかったようなので気にすることもないのか。本当の被害者は前回殺された女中さんだけだな。
あと当主の蓮丈が折れて表向きの妻と子供が従うのはまだしも、結局先代当主が出てこなかったのはどうしたものかと。伝統と掟を覆すということなら、これまでの話からすると先代こそが一番のネックになりそうな感じだったのに。そしてだからこそこれまで蓮丈は紅香に責め立てられても立場を変えることが出来なかったのではないのか? 紫の立場がこれで完全に改善された訳でもなく、困難はこれからも続くにせよなんだか腑に落ちなかった。
今回で最終回だったわけだけど、総評としては結局日常シーンがやりたかっただけで、紅という作品世界を描きたい訳じゃなかったように感じられた。3話ぐらいから感じはじめていたけど、7話で決定的になり結局最後まで覆されることはなかった。紫を中心とした会話などの描写に力が注ぎ込まれている一方で、その他の部分の扱いがおざなりに過ぎた。加えて、紫の成長を物語の中心に据える一方で、それ以外の物語の要素が完全に抑え込まれてしまっていた。主人公である真九郎とその背景すら紫を引き立てる従の側でしかなかった。作品世界が紫を中心に据えることで語り尽くせるならそれも問題ではなかったかもしれないが、描きたい部分だけ描いていたら設定を持て余したという感じだろうか。だったら最初からオリジナル作品でやれと思わないでもない。