コードギアス 22話「血染めのユフィ」

まさか、血染めというサブタイトルがユフィの血ではなく返り血を意味していたとは。無論、ユフィが今回死なない線での予想として他人の血がかかるというのは充分考えられたわけだけど、それも殺されそうになるユフィをかばった人物のものだろうと思ってたわけですよ。それがここまでの惨劇になるとは。
誰の悪意によるものでもない悲劇、というのは見てる人間に多大なショックとストレスを与えるわけで、今回の話でこの作品自体の評価を見直す人も多いんじゃないかと思った。特に充分なカタルシスが期待出来そうにないからなぁ。古典的なトラジディの場合、悲劇を見ること自体を目的化してそこにあるる種の酔いを感じるという精神的な開放の手段があるけど、単純に娯楽作品として期待して見ている物の場合とことん辛い*1。最終的にルルが幸せになる展開は完全に閉ざされたとは思うけども、ルルがこのまま覇道を突き進み見てる人間にカタルシスを生み出せるかどうかで個人的にもこの作品の評価が変わりそうだ。
　
「キョウトとブリタニアの裏方」
キョウトは表立って動く立場に無い以上やはり強硬な姿勢は取らないし、取る理由もないということか。特区を受け入れても裏で動かなくなるわけではないのだし。またやはりというべきか一枚岩ではないみたいで、切れかかった黒の騎士団とのラインが今回最終的により強固に繋がる大義名分が出来たわけだけどそこでも一悶着ありそうな。ブリタニアの方は内部の不穏分子のあぶり出しにも特区宣言は有効に働いたわけで、シュナイゼルの目論見はむしろここ狙いだったのか。クロヴィスも被害者である的な発想は無かったわ。
シュナイゼルの最後の動転っぷりは、『あれ、黒そうに思ってたけどこの兄ちゃんやっぱり良い人？』と思わせるのに充分なものだったなぁ。シュナイゼルのゼロに対する意識がどのようなものかの描写がないもんだから、言動の意図が読みきれず裏読みしちゃうんだよなぁ。
　
「ニーナ」
イレブンに対する負の感情とユフィに対する感情で葛藤。ここでユフィが虐殺発言しちゃったのを知ったら色々とやばい。なんせ核の研究してる人間だから、キ○ガイに刃物になりかねない。
　
「スザク」
KMFの機銃に思いっきり狙われてる状況から何事もなかったのように離脱してんなよｗ
死角に潜り込んで取り付いて無効化ぐらいは普通にしてそうだ。まぁ、そこまで出来るならハッチ強制開放してKMF奪っちまえと思わないでもない。スザクはユフィの生死に関わらず今後の立場が難しいなぁ。ロイドつながりでシュナイゼルの下に付くか、ダールトンつながりでコーネリアの下に付くか。
　
「ダールトン」
一番損な役回りだなぁ。ゼロがユフィに何かをしたと考えてるということは、ヴィレッタみたいにゼロの能力に近付ける立ち位置にいるわけだけど、今回ルルに接触したということはギアスを使われた可能性が高い。しかもこのときのルルはある程度覚悟を決めた状態だったわけで、コーネリアにとって致命的なものになりかねない。
　
「C.C.」
スザクとの繋がりはスザクに一度ショックイメージを送ったというだけでは無さそうな感じか。
神の島の回での遺跡でスザクの様子がおかしかったしなぁ。ただ、ここでマリアンヌのイメージが出てきたのがかなり謎。ますますマリアンヌとその死因に疑問が生じた形。
また、C.C.はルルと同様の命令能力も持っているということか？　今までもそうではないかと思える場面もあったけど、割と高い身体能力があるみたいでそっちで解決してるのか解らなかったんだよなぁ。
　
「ルルとユフィ」
ルルもユフィも互いを『好きだった』と言っているのに、過去形である意味合いが全然違っているのが物悲しい。
だが、ルルがユフィに感じる傲慢さは、ユフィの中では全て解消されているものだった。望む物全てを手に入れようとしているように見えるのは、ただ捨ててはならないものを捨てないようにしているだけで欲しいものがあるからと他をないがしろにしてはいない。上から自分の下に来いと言っているように見えるのは、自分と一緒に同じ高さの位置に行こうと言っているだけ。
無論充分傲慢なんだけど、ルルの心を動かすのには充分だった。しかしそれが悲劇を生んでしまうとは。
ギアスの暴発はルルの大ポカと言えばそれまでだけど、ルルがユフィを信じたがゆえにギアスのことまで打ち明けようとしたのだと考えれば同情できる範囲だとは思えるわけで。
ギアスの強制発動。マオのギアスが強制発動でルルがそうではないのは、受動的なものと能動的なものの違いと思っていたけど、ギアス能力の段階の違いだったとは。C.C.との契約時の『王の力はお前を孤独にする』というセリフは誇張でもなんでもなかった。ルルは自分のギアスを『意志も信念も全て押さえ込んでしまう』と評していて、それゆえこれまでも思想的な強制命令ではなく一時的なものに留めていたわけだけど、今後はそれも適わない。今は仮面をしていれば効果はでないけど、それもギアスの段階が進めば保障の限りではない。まぁ、目が見えないナナリーや使用済みのカレンには関係ないけど。
使用済みの相手にはギアスが効かないという条件がクリアされない限り、ユフィはもうあのままなわけでやはりユフィの死は免れないか。ここでさすがにルルが自分で手を下せないとずっとへたれのままだろうな。
　
「今週のヴィレッタさん（と扇）」
とうとう一線越えちゃったー！　扇は黒の騎士団としての行動指針においてもすでにヴィレッタの存在が念頭に入っているのがもう色々とヤバイなぁ。
　
「皇帝陛下」
あやつついにやりおったわ！　ってどこまで解ってるんだろうなぁ。この口ぶりだとむしろルルを応援している感じか。以前むかってくれば良い、的なことを言っていたのも実はシュナイゼルではなくルルなのか？　遺跡目的で侵略活動しているのも踏まえて、ギアス能力者が育つこと自体になにか目的があるのかも。
　
次回23話「せめて哀しみとともに」
2期があると解ってはいても、（ついでに24話と25話が通常放映枠ではないと解ってはいても）クライマックスに繋がる怒涛の展開。まだ具体的な動きのなかったオレンジもいよいよ動くか？

*1:自分が見てるものは名作だ大作だと酔うか、駄作だと叩くかしないことにはなかなか精神の開放は出来ない。所詮一作品と感情移入を避け一歩引いた冷めた目で見るという手段もあるけどそれは余りにも寂しい。ネット各所で暴れて回るよりは良いけど。